インプラント治療は、失われた歯を人工の歯根で補うことで、自然な歯と同じように噛む機能を取り戻す治療法として広く知られています。
その中でも近年注目されているのが、ショートインプラントです。
今回は、ショートインプラントの概要、メリット、デメリットについて解説します。
ショートインプラントの概要

ショートインプラントの長さ形状
ショートインプラントは、従来のインプラントよりも短いのが特徴です。
一般的に、従来のインプラントは長さ10mm以上のものが主流ですが、ショートインプラントは5〜8mm程度の短いものが多く、骨の少ない部位でも適用できる可能性があります。
形状も、従来の円柱状のものに加え、歯根の形状を模倣した形状のものなど、様々なタイプが存在し、患者さんの顎の骨の状態や歯の状況に合わせて最適なものが選択されます。
これらの形状の違いは、骨との結合を強固にする上で重要な役割を果たし、治療の成功率を高めるために考慮される重要な要素です。
骨が少ない部位への適用について
従来のインプラント治療では、十分な骨の量が必要とされましたが、ショートインプラントは、骨の量が不足している部位にも適用できる可能性があります。
そのため、歯周病などで骨が減ってしまった場合や、先天的に骨が少ない場合でも、インプラント治療が受けられる可能性が広がります。
ただし、骨の量が少ない場合、骨造成などの追加処置が必要になる場合もあります。
これは、インプラントを安定して固定するための土台となる骨の量を確保するために不可欠なステップです。
治療期間
治療期間は、患者さんの状態や施術内容によって異なりますが、従来のインプラント治療よりも短くなる傾向があります。
これは、インプラントの長さが短い分、手術時間が短縮されるためです。
ただし、骨造成などの追加処置が必要な場合は、治療期間が長くなる可能性があることを考慮しておく必要があります。
治療期間の短縮は、患者さんの負担軽減に繋がるという点で大きなメリットとなります。
費用
費用は、使用するインプラントの種類、追加処置の有無、医療機関によって異なります。
一般的に、従来のインプラント治療と比較して、費用が安くなる傾向にありますが、必ずしも全てのケースで安価とは限りません。
治療を受ける前に、医療機関で詳細な費用を確認することが重要です。
費用面での透明性を確保し、患者さんが安心して治療を受けられるよう、事前に見積もりを取ることをお勧めします。
ショートインプラントのメリット・デメリット
身体への負担が少ない
ショートインプラントは、手術時間が短く、侵襲(身体への負担)が少ない傾向があります。
そのため、高齢者や持病のある方など、身体への負担を軽減したい方にとって、より適した治療法と言えるでしょう。
手術の痛みや回復期間の短縮は、患者さんの生活の質を向上させる上で重要な要素です。
治療期間が短い場合も
従来のインプラント治療と比べて、治療期間が短縮される可能性があります。
これは、手術時間だけでなく、骨癒合期間も短縮される可能性があるためです。
そのため、早期に治療を終えたい患者さんにとってメリットとなります。
しかし、これはあくまで可能性であり、必ずしも短いとは限らないことを理解しておく必要があります。
適用できる症例が限られる
ショートインプラントは、骨の量が限られている場合に適している反面、骨量に余裕がある症例には、必ずしも最適な選択肢とは限りません。
従来のインプラントの方がより強固な支持力を得られるケースもあります。
そのため、患者さんの顎の骨の状態を正確に評価し、最適なインプラントを選択することが重要です。
耐久性が低い場合も
インプラントの長さが短い分、耐久性が低い可能性も考慮する必要があります。
適切な口腔ケアと定期的な検診が、インプラントの長寿命化に繋がるため、患者さんの積極的な協力が不可欠です。
まとめ
今回は、ショートインプラントの概要、メリット、デメリットについて解説しました。
ショートインプラントは、従来のインプラントに比べて、骨の少ない部位への適用が可能で、治療期間が短縮される可能性がある一方で、適用できる症例が限られたり、耐久性が低い可能性もあることを理解した上で、自身の状況に適した治療法を選択することが重要です。
治療を受ける際には、必ず担当医と十分に相談し、最適な治療計画を立てましょう。