インプラントがぐらついていると感じたとき、不安や焦りを覚える方は少なくありません。
せっかく入れた人工歯に異常があるのではないかと心配になるのも当然です。
ぐらつきが一時的なもので治るのか、それとも深刻な問題なのかを見極めることが重要です。
今回は、原因や対処法、治療の可否についてご紹介します。
冷静な判断の助けになる情報をお届けします。
インプラントがぐらつく原因を正しく知る

*インプラント本体ではなくネジが緩んでいるケース
インプラントの構造は、骨に埋め込まれたフィクスチャー(本体)と、そこに取り付けられたアバットメントや人工歯で成り立っています。
ぐらつきの原因がこの連結部のネジの緩みにある場合、本体自体が問題ではないため、比較的軽度なトラブルです。
定期的な咬合力や振動などの影響で徐々にネジがゆるむことがありますが、再度締め直すことで元に戻ることが多いです。
*インプラント周囲炎による骨吸収のケース
歯周病に似た症状を引き起こすインプラント周囲炎は、インプラントを支える骨に炎症を生じさせます。
進行すると骨が吸収され、インプラントが安定せずにぐらつき始めます。
原因としては、プラークの蓄積、清掃不良、喫煙などが挙げられます。
自覚症状が出にくいため、気づいたときには進行していることも少なくありません。
*かみ合わせや外力による負荷の影響
強いかみしめや歯ぎしり、外部からの衝撃などが繰り返されると、インプラントに想定以上の負荷がかかり、ぐらつきにつながることがあります。
特に、かみ合わせのバランスが悪い場合、特定の歯に負担が集中することで、周囲の骨にストレスがかかりやすくなります。
補綴物の形や位置も影響するため、調整が必要になることもあります。
ぐらつきの状態から治るかどうかを見極める

*ネジのゆるみが原因なら再固定で治る可能性が高い
ネジの緩みによるぐらつきであれば、歯科医院でネジを締め直す処置を行うことで解決できる可能性が高いです。
ネジの摩耗や破損がなければ、再固定後に再発するリスクも比較的低くなります。
早期に発見できれば、痛みや炎症を伴うことも少なく、簡単な対応で済むケースが多いです。
*インプラント周囲炎は早期なら改善が見込める
インプラント周囲炎は初期段階であれば、歯石除去や抗菌処置によって進行を抑えることが可能です。
炎症を起こしている歯ぐきや骨の状態に応じて、洗浄、薬剤投与、レーザー治療などの選択肢があります。
治療後のセルフケアと定期的なメンテナンスを徹底することで、再発を防ぎながら維持することができます。
*インプラント自体の脱離は治療不可になることが多い
もっとも重度のケースは、インプラント本体が骨から完全に外れてしまう脱離です。
これは骨との結合が失われている状態であり、再固定が困難なため、基本的には再手術や撤去が必要になります。
放置すると感染のリスクも高まるため、早急な処置が求められます。
新たにインプラントを入れるには、骨の再生治療が必要になることもあります。
インプラントのぐらつきを感じたときの対応方法

*放置せず早急に歯科を受診すべき理由
ぐらつきを感じたら、まずすぐに歯科医院での診察を受けることが大切です。
原因によっては短期間で悪化し、治療が難しくなることもあります。
ネジの緩みなのか、骨の吸収なのか、あるいは脱離の兆候なのか、専門家による診断で正確に見極める必要があります。
時間が経つほど選択肢が狭まるため、早期対応が鍵です。
*自己判断で締めたり外したりしてはいけない理由
インプラントのネジは専門的なトルク管理が必要であり、力加減を間違えるとパーツを損傷してしまう恐れがあります。
素人判断で締めたり外したりすると、かえって内部構造を壊してしまうリスクがあり、修復不可能になる可能性もあります。
少しの違和感でも、自分で対処せず歯科医院に任せましょう。
*定期的なメンテナンスでぐらつきを予防する習慣
インプラントは天然歯と異なり、周囲組織の異常に気づきにくい面があります。
そのため、異変を未然に防ぐには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
歯科医院での専門的なクリーニングに加え、かみ合わせのチェックや部品の緩み確認も行われます。
セルフケアとプロの管理を両立させることで、ぐらつきの予防につながります。
まとめ
インプラントのぐらつきには、ネジの緩み、周囲炎、外的負荷など複数の原因があります。
中には簡単な処置で治るケースもありますが、放置すると深刻な問題に発展することもあります。
治るかどうかを正確に見極めるには、早期の受診と専門的な判断が欠かせません。
違和感を覚えた段階で歯科医院を受診し、原因に合った適切な対処を受けることが、インプラントを長持ちさせるための第一歩です。